大腸憩室炎について

大腸憩室炎は、大腸壁にできた「憩室」と呼ばれる小さなくぼみに炎症が起こる病気です。 日本では食生活の欧米化に伴って増加傾向にあり、特に高齢者で頻度が高くなっています。腹痛・発熱で受診される方の中に隠れていることも珍しくありません。

大腸憩室とは

大腸内視鏡でみた大腸憩室(腸壁のくぼみ)の画像
大腸憩室の内視鏡画像

大腸の壁の弱い部分が外側にポケット状に突出した小さなくぼみが「憩室」です。加齢に伴う腸壁の脆弱化、食物繊維不足、便秘などで腸内圧が高まることにより形成されます。大腸内視鏡検査では、右の画像のように腸の壁にくぼみとして観察され、時に便が詰まっていることもあります。

日本人ではS状結腸(左下腹部)や上行結腸(右下腹部)に多くみられます。憩室があるだけ(憩室症)であれば、ほとんどの場合無症状です。

大腸憩室炎の症状

憩室の中に便が溜まって細菌感染を起こし、炎症が広がると以下の症状が現れます:

  1. 持続するお腹の痛み
  2. 発熱(38度台のことも)
  3. 吐き気・嘔吐
  4. 便通異常(下痢・便秘)
  5. 腹部の張り、押すと痛む(圧痛)

憩室から出血する「憩室出血」では、痛みはなく突然の鮮血便(真っ赤な大量の下血)として発症することが特徴的です。

リスク因子

  1. 加齢(特に60歳以上)
  2. 食物繊維不足の食生活
  3. 慢性的な便秘
  4. 肥満・運動不足
  5. 喫煙・過度の飲酒
  6. 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の常用

診断

大腸憩室炎の腹部CT画像(腸管壁の肥厚と憩室周囲の炎症像)
大腸憩室炎の腹部CT画像

問診・腹部の診察に加えて、血液検査と腹部CT検査が最も有用です。腸管壁の肥厚、憩室周囲の炎症像、膿瘍や穿孔の有無を評価でき、緊急性の判断にも役立ちます。右の画像のように、CTでは大腸から突出する憩室と、その周囲の炎症像(グレーの部分)を確認できます。

腹部エコー検査でも炎症所見を確認できる場合があります。大腸内視鏡検査は炎症が強い急性期には避け、症状が落ち着いてから腫瘍などの除外目的で行います。

治療

軽症例

外来通院で抗生物質の内服もしくは点滴、食事制限(流動食・低残渣食)で治療します。多くは数日で改善します。

中等症〜重症例

発熱・腹痛が強く、食事摂取ができない場合や、CTで膿瘍・穿孔などの合併症が認められる場合は入院治療が必要です。絶食・点滴・抗生物質の静脈注射を行います。

外科治療

穿孔による腹膜炎、大きな膿瘍、繰り返す憩室炎などでは外科手術(病変部の切除)が選択されます。

当院での診療

当院では院内血液検査および腹部CT検査により受診当日に迅速な診断が可能です。軽症例は外来での治療を行い、入院・手術が必要と判断された場合は連携する専門病院へ速やかにご紹介いたします。

よくあるご質問

大腸憩室とは何ですか?

大腸の壁の弱い部分が外側にポケット状に突出した小さなくぼみです。加齢や食物繊維不足、腸内圧の上昇により形成されます。日本ではS状結腸や上行結腸にできやすいといわれています。

憩室があるだけで問題ですか?

憩室があるだけ(憩室症)では多くの場合無症状で、健康診断や別の検査で偶然発見されます。憩室自体は病気ではありませんが、炎症(憩室炎)や出血(憩室出血)を起こすことがあります。

どんな症状で受診すべきですか?

下腹部の持続する痛み、発熱、吐き気、便通異常、突然の下血などがあれば受診をおすすめします。腹膜炎を合併すると緊急手術が必要となる場合もあるため、自己判断せず医療機関にご相談ください。

どのように診断しますか?

腹部の診察に加えて、CT検査が最も有用です。腸管壁の肥厚や憩室周囲の炎症像、合併症(膿瘍・穿孔など)を評価できます。大腸内視鏡は炎症が強い急性期は避け、改善後に施行します。

どのような治療が行われますか?

軽症の場合は外来で抗生物質と整腸剤・食事制限により治療します。発熱や腹痛が強い、CTで合併症がある場合は入院での絶食・点滴・抗生物質静注が必要です。穿孔や膿瘍がある重症例では外科手術となります。

再発を予防するには?

食物繊維を多く含むバランスのよい食事、適度な運動、便秘の改善、十分な水分摂取が重要です。喫煙・過度の飲酒は控えてください。憩室炎を繰り返す方は専門医と相談してください。

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