虚血性腸炎について
虚血性腸炎は、大腸への血流が一時的に低下し、粘膜が虚血により障害を受けて炎症や潰瘍を生じる病気です。 「突然の腹痛のあとに鮮血便が出る」というのが典型的な経過で、中高年女性に多くみられます。多くは軽症で軽快しますが、適切な診断と経過観察が重要です。
症状の特徴
次のような経過が典型的です:
- 突然の左側腹部痛(強い差し込むような痛み)
- 続いて便意・下痢
- 鮮やかな赤色の下血(鮮血便)
- 吐き気を伴うこともある
多くは下行結腸からS状結腸(左側)に病変ができますが、まれに右側にも起こります。発症から数日以内に症状が軽快することがほとんどです。
原因とリスク因子
大腸への血流低下が主な原因で、次のような要因が組み合わさって発症すると考えられています:
- 加齢に伴う動脈硬化
- 高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病
- 慢性的な便秘や強いいきみによる腸内圧の上昇
- 脱水・低血圧
- 喫煙
- 女性ホルモンの関与(中高年女性に多いとされる)
診断
典型的な症状経過から本疾患を疑い、腹部触診・血液検査・腹部CT検査により確定診断を行います。CT検査では全周性の腸管壁の肥厚・粘膜浮腫がみられます。腹部エコー検査も補助的に用います。大腸内視鏡検査は炎症が強い急性期には避け、症状が落ち着いてから腫瘍などの除外目的で行います。
治療
一過性型(軽症)
大多数を占めます。絶食・点滴による腸管安静で数日〜1週間程度で症状・所見ともに軽快します。外来通院または短期入院で治療します。
狭窄型(中等症)
炎症が改善した後に腸管が瘢痕狭窄を残すタイプです。狭窄が高度な場合はバルーン拡張や外科治療が必要となることもあります。
壊死型(重症)
まれですが、腸管壊死を起こした場合は緊急手術(切除)が必要となります。
当院での診療
当院では血液検査・CT検査により当日中の診断が可能です。軽症例の経過観察から、重症が疑われる場合の専門病院への迅速な紹介まで、状況に応じた対応を行います。
また、大腸癌や炎症性腸疾患など、継続治療を要する他の疾患との鑑別のため、病状が落ち着いたところで大腸内視鏡検査を行います。
よくあるご質問
虚血性腸炎とはどんな病気ですか?
大腸への血流が一時的に低下し、粘膜が虚血により障害を受けて炎症や潰瘍が起こる病気です。多くは下行結腸〜S状結腸(左側)に起こります。中高年の女性に多くみられます。
どんな症状で発症しますか?
突然の腹痛(多くは左側)の後に下痢、続いて鮮血便(真っ赤な下血)が出る、という経過が典型的です。腹痛は強く、便意も伴います。
どんな方がなりやすいですか?
高血圧・糖尿病・脂質異常症など動脈硬化のリスクがある中高年、慢性的な便秘のある方、脱水・低血圧をきたしやすい方などで発症リスクが高くなります。
どのように診断しますか?
典型的な経過と症状で疑い、大腸内視鏡検査で虚血の特徴的所見(粘膜の発赤・浮腫・縦走潰瘍など)を確認することで確定診断します。CT検査も重症度の評価や他疾患との鑑別に有用です。
治療と経過は?
多くは軽症で、絶食・点滴による安静で数日〜1週間程度で軽快します(一過性型)。中等症は短期入院、まれに重症化(狭窄型・壊死型)した場合は外科手術が必要です。
再発を予防するには?
便秘の改善、十分な水分摂取、血圧・血糖・脂質などの生活習慣病コントロール、禁煙が重要です。同じ生活習慣で繰り返すことがあるため、原因の見直しが必要です。